歳を重ねてくると、白髪以外にも抜け毛や薄毛といった男性特有の髪の悩みを持つ方も増えてきます。

抜け毛や薄毛と言うと「男性ホルモン」をイメージされる方も多いと思います。昔から「男性ホルモンの強い人はハゲる」などと言われてきましたが、これは半分正解です。

男性ホルモン単体には薄毛を促進する働きはありませんが、代表的な男性ホルモンである「テストステロン」が「5αリダクターゼ」という酵素と結合することで「ジヒロテストステロン(DHT)」というホルモンに変換されます。この「ジヒロテストステロン」が毛母細胞の活性を低下させるよう作用することで薄毛や抜け毛の要因となってしまうのです。これが、いわゆるAGA(男性型脱毛症)の状態です。

このように「テストステロン」の作用によって薄毛の要因になってしまうとういう意味では、男性ホルモンと薄毛の関係はあると言えます。

ただ「テストステロン」は別名モテフェロモンとも言われ男性らしさを作りだすもので、中高年よりも若年のときに多く分泌されます。分泌量は思春期から20代頃に最も多く、30歳頃をピークに以降は年齢とともに減少していきます。男性ホルモンの分泌量だけを見た場合、中高年になったからと言って薄毛の要因が高まるとは言い切れません。

男性ホルモンの影響もありますが、抜け毛や薄毛となる一番の要因としては「頭皮の老化」が挙げられます。
年齢とともに肌が老化して顔がたるみシワやシミも増えてくるように、頭皮も老化が進行していきます。加齢によって頭皮の細胞の活性が低下することで、自然と髪の毛が生える力も衰えていきます。

その他にもストレスや食生活の乱れ、紫外線など外的刺激の影響によって頭皮の血行が悪くなることも薄毛を（白髪も）進行させる要因になります。

そこで、ご質問の「白髪染めと育毛剤は併用してもよいか」についてですが、答えは「YES」。白髪染めと育毛剤は併用しても問題はないと言えます。

お使いになる白髪染めと育毛剤の成分にもよりますので、併用に当たっては各商品のメーカーのホームページでご確認いただく必要がありますが、ほとんどの白髪染め・育毛剤は併用して問題なく使えるようです。育毛剤が頭皮環境を整える働きをすることを考えるとむしろ積極的に使う方が良いと言えます。

白髪ができる原因は遺伝や病気という特殊なものもありますが、大きくは加齢やストレス、紫外線や喫煙、不規則な生活や食生活などが複雑に絡み合っています。

一見、白髪と薄毛・抜け毛の原因は全く違うように思えますが、薄毛・抜け毛の原因も白髪と同じく、頭皮細胞の老化や血行不良によるところが大きいです。

育毛剤には血行改善や栄養補給の働きがありますので、育毛剤を使うことによって頭皮の環境を良い状態に整えることができます。頭皮環境が改善されることで、育毛効果だけではなく白髪の改善にも良い効果が期待できます。

ただし併用する場合、白髪染めと育毛剤を同じタイミングで使うのは避けましょう。
白髪染めをした後すぐに育毛剤を使うと、育毛剤に含まれるアルコールによって白髪染めのカラーが落ちてしまうことがあるようですので、別日に使うのが良いでしょう。

毛が生まれてから抜けるまでのサイクルを毛周期といい「成長期」「退行期」「休止期」3つの時期に分けられますが、育毛剤は、頭皮の環境を健康的な状態に整えて髪の「休止期」を短くし、「成長期」を長くしたり、髪を生えやすい状態に近づけるというものです。

白髪や薄毛・抜け毛は、ストレスや不規則な生活、食生活の乱れ、喫煙などにより、頭皮が慢性的な血行不良で硬くなるため、栄養が頭皮や毛根まで行き渡っておらず、髪が栄養不足の状態になっています。

そこで、頭皮マッサージや生活習慣の見直しをしながら、育毛剤で頭皮環境の改善を行うことができれば、抜け毛や薄毛だけでなく、白髪の改善も期待できると考えられます。

健康な土壌から栄養価の高い安全な野菜が収穫できるように、健康な頭皮からしか、健康な髪の毛は生えてきません。白髪や髪のボリュームが最近気になるという方は、生活習慣や食生活を見直しながら、育毛剤で頭皮の環境を改善しましょう。

せっかく育毛剤で頭皮環境を改善しようとしても、白髪染めで頭皮環境を悪化させてしまえば元も子もありません。

ヘアカラーなどの刺激の強い白髪染めを繰り返し使い続けていると、頭皮や髪を傷め続け、その結果抜け毛や薄毛、白髪を促進させてしまうことになりかねません。

育毛剤と併用して使うのであれば、頭皮や髪に優しい白髪染めを、さらにトリートメントタイプのものであれば併用効果も期待でき安心です。