ヘアカラーと白髪染めの違いを教えてください
ヘアカラーと白髪染めの違いを教えてください。
白髪が少し目立つようになってきたので、そろそろ白髪を染め始めたいと考えています。ヘアカラーや白髪染めで染めることになると思いますが、ヘアカラーと白髪染めはどのような違いがあるのでしょうか。どちらを使って染めれば良いのでしょうか。
また、白髪染めで染めると髪を傷めると聞いたことがありますが、ヘアカラーであれば髪を傷めずに染めることができるのでしょうか。年齢とともに髪も細くなってきており、髪を傷める染め方は避けたいと思っています。
ヘアカラーも白髪染めもヘアカラーリング剤の一種
ヘアカラーと白髪染めの違いですが、どちらも明確に定義された言葉ではなく、どちらもヘアカラーリング剤の一種です。
一般的にヘアカラーと言うと、永久染毛剤の「酸化染毛剤」を指します。ヘアカラーには黒髪を明るく染める黒髪用ヘアカラーと白髪を暗く染める白髪用ヘアカラーがあり、白髪を染めるのであれば白髪用ヘアカラーを選ぶ必要があります。
もう一点、髪へのダメージに関してですが、ヘアカラーはしっかり染まりますが、反面髪や頭皮へのダメージは避けることができません。
髪へのダメージが気になるのであれば、ヘアカラーではなく、カラートリートメントなどの半永久染毛料タイプの白髪染めを使うことをオススメします。染まり・色持ちはヘアカラーには及びませんが、髪や頭皮を傷めることなく染めることができます。
ヘアカラーとは?白髪染めとは?
ヘアカラーと白髪染めの違いを知る前に、まずはそれぞれの意味についてご説明します。
ヘアカラーも白髪染めもどちらも明確に定義された言葉ではなく、大きな括りで言うと、ヘアカラーリング剤の一種です。
ヘアカラーリング剤は、下表のとおり、大きく医薬部外品である「染毛剤」と化粧品である「染毛料」とに分類されます。似たような言葉で紛らわしいですが、ヘアカラーリングの仕組みは全く異なります。
ヘアカラー
染毛剤の中でも、永久染毛剤の「酸化染毛剤」に分類されるものが、いわゆるヘアカラーです。
ヘアカラーは、ヘアダイとも呼ばれる昔ながらのヘアカラーリング剤で、1剤と2剤を混ぜ合わせて使うタイプです。ドラッグストアなどで市販されているヘアカラーリング剤の多くはこのヘアカラーです。
ヘアカラーは、髪のメラニン色素を分解することで、脱色してから髪にカラーを流し込むため明るくも暗くも染められるのが特徴です。
ヘアカラーには、黒髪を染めるタイプの黒髪用ヘアカラー(いわゆるオシャレ染め)と、白髪を中心に染めるタイプの白髪用ヘアカラーがあります。白髪を染める目的である白髪用ヘアカラーは、「ヘアカラー」でもあり「白髪染め」でもあると言えます。
白髪染め
化粧品である染毛料に分類される「半永久染毛料」はいわゆるヘアマニキュアやカラートリートメントなどを指し、一時染毛料はその名の通り一時的に染める白髪隠しなどが該当します。
これらは、黒髪はほとんど染めることはできず、白髪を染める働きをするため、一般的に白髪染めと総称されています。
まとめると、ヘアカラー・白髪染めは次のように分類することができます。一時染毛料も白髪染めの一種ですが、髪を染める効果が一時的なのでここでは除外しています。
- 黒髪用ヘアカラー・・・ヘアカラー
- 白髪用ヘアカラー・・・ヘアカラーでもあり白髪染めでもある
- 半永久染毛料・・・白髪染め
ヘアカラーの染色の仕組み
ヘアカラーには黒髪用と白髪用があると先ほど説明しましたが、黒髪用と白髪用とで、髪を染める基本的な仕組みや配合されている成分には違いはありません。
一般的にヘアカラーは、1剤と2剤を混ぜ合わせて使います。1剤にはジアミンなどの酸化染料とアルカリ剤、2剤には過酸化水素水などの酸化剤が配合されています。
髪を染める仕組みは、1剤のアルカリ剤が髪の表面のキューティクルを開き、ヘアカラーの成分を髪内部に浸透させます。またアルカリ剤と2剤の酸化剤が化学反応を起こして酸素を発生させることで、髪内部のメラニン色素を分解して髪を脱色します。
髪を脱色した後、発生した酸素と1剤の酸化染料が酸化することで発色します。発色した酸化染料は分子同士が結合することで大きくなり、キューティクルの隙間から出られなくなります。染料が髪の内部に閉じ込められることで髪に色が定着し、シャンプーなどでもほとんど色落ちすることがなくなります。
黒髪用ヘアカラーと白髪用ヘアカラーの違い
黒髪用ヘアカラーと白髪用ヘアカラーで、染色の仕組みや配合されている成分に違いがないのであれば、黒髪用と白髪用とでは何が違うのでしょうか。
その違いは、配合されている成分の「配合バランス」です。
具体的には、黒髪・白髪それぞれの特徴に合わせて、髪を脱色する「ブリーチ力」と、髪に色をつける「染毛力」の強弱が成分の配合で調整されています。
例えば、黒髪用ヘアカラーの場合は、黒髪の色を抜いて明るいカラーに染めることが多いことから、強い「ブリーチ力」が必要ですが、色をつける「染毛力」はそこまで強くする必要はありません。
反対に、白髪用ヘアカラーの場合は、最初から髪に色がついていない状態であり、黒髪もあまり脱色する必要がないため、「ブリーチ力」をあまり強くする必要はありません。白髪を目立たなくするためには、しっかり濃いめ・暗めなカラーに染める必要があることから、強い「染毛力」が必要になります。
黒髪用ヘアカラーを白髪に使ってしまうと、白髪がきれいに染まらなかったり、不自然なカラーに染まってしまうこともあります。
黒髪用ヘアカラーにもブラックやダークブラウンなど暗めのカラーも用意されていますので、白髪染めとして黒髪用ヘアカラーのダークカラーを使うこともできますが、ブリーチ力が強く、髪や頭皮へのダメージも心配です。
あえて必要以上に髪や頭皮にダメージを与える必要もありませんので、白髪染めには白髪用ヘアカラーを使った方が無難です。
髪を傷めないのはヘアカラー?白髪染め?
それでは、髪を傷めずに白髪を染められるのは、白髪用ヘアカラーなのでしょうか。
そうではありません。
白髪用ヘアカラーは、黒髪用ヘアカラーに比べるとブリーチ力は抑えられていますが、ヘアカラーである限り髪や頭皮へのダメージはゼロではありませんし、ジアミン系の染料によるアレルギーリスクにも注意が必要です。
ヘアカラーに使われるアルカリ剤は髪のキューティクルを開いてしまいます。本来キューティクルは髪を守る外壁のような存在で、外部からの刺激から髪を守ったり、髪内部から栄養や水分が流出しないように重要な役割を担っています。キューティクルを開く行為は髪を傷める行為に他なりません。
主成分としてジアミンなどの酸化染料を含むため髪の毛が傷みやすく、また頭皮にもダメージを与えやすいという欠点があり、皮膚や頭皮の弱い方は注意が必要です。
またジアミンはアレルギー性皮膚炎の要因物質でもあり、アレルギーリスクを少しでも抑えるために、使用の都度パッチテストを行う必要があります。
このようにヘアカラーには、染毛の仕組み上、どうしても避けられない髪や頭皮へのダメージ・アレルギーリスクがあります。
白髪は染めたいけど髪や頭皮は傷めたくないという方には、ヘアカラーではなく、次に紹介する半永久染毛料タイプの白髪染めがオススメです。
半永久染毛料の染毛の仕組み
半永久染毛料は、ヘアカラーと違ってキューティクルを開くことなく、髪のメラニン色素を分解することもなく、髪の1本1本の表面に色を定着させます。
半永久染毛料は、具体的にはヘアマニキュアやカラートリートメントを指しますが、その違いは使用されている染料です。
ヘアマニキュアは「酸性染料」を使われているものが多く、カラートリートメントには安全性が高く染まりの良い「塩基性染料」「HC染料」が使用されています。
刺激も弱いため、髪や頭皮を傷めることなく、また肌の弱い方でも安心して使うことができます。
反面、半永久染毛料は髪の表面に染料をのせているだけなので、シャンプーなどで徐々に色が落ちていくため、ヘアカラーに比べて色落ちしやすいという欠点があります。
ヘアカラーと白髪染めの違いまとめ
ヘアカラーと白髪染め(半永久染毛料)の違いをまとめると次の表のようになります。
それぞれの特徴を理解しておくことで失敗せずに白髪染めを選ぶことができます。
黒髪用ヘアカラー | 白髪用ヘアカラー | 半永久染毛料 | |
---|---|---|---|
使う髪 | 黒髪 | 白髪 | 白髪 |
ブリーチ力 | 強い | 普通 | なし |
染毛力 | 普通 | 強い | 弱い |
色持ち | 1ヶ月程度 | 1ヶ月程度 | 1週間程度 |
アルカリ剤 | 使用 | 使用 | 不使用 |
ジアミン | 使用 | 使用 | 不使用 |
髪ダメージ | 大きい | 大きい | 小さい |
アレルギーリスク | 高い | 高い | 低い |
白髪を染めるなら
白髪用ヘアカラー
白髪をきっちり染めたい方や一度染めたらあまり染め直しをしたくない方向け。ただし髪や頭皮を傷めるリスクやアレルギーリスクがあり、使用には注意が必要。
半永久染毛料
髪や頭皮にダメージを与えずに白髪を染めたい方や自然に白髪を目立たなくしたい方向け。染毛力は弱いので染め直しの頻度はヘアカラーに比べ高くなります。
最近は、ヘアマニキュアは少なく、カラートリートメントが主流になりつつあります。