

髪の毛はすでに死んでいる細胞?
髪の毛は「死んでいる細胞」なのでしょうか?
髪は毎日少しずつ伸びてくるので成長しているようにも見えます。また、ダメージの多い髪をトリートメントで生き返らせる・元の状態に復活させる、というようなフレーズもどこかで聞いた気がします。
実際のところ髪の毛は生きているのでしょうか?それとも死んでいるのでしょうか?
あるいは死んでしまっていても生き返らせることが可能なのでしょうか?
結論から言うと、
髪の毛は爪や皮膚のアカと同じく「死滅細胞」、つまり死んだ細胞の集まりです。
死んだ細胞ですので、当然ですが生き返らせることもできません。
髪の毛の生きている細胞と死んでいる細胞
髪の毛は大きく、頭皮から出ている「毛幹」と、頭皮の中にある「毛根」に分けられます。
毛根の根元に「毛球」という丸い部分があり、ここで毛母細胞が栄養を受けて細胞分裂を繰り返しすことで増殖し、頭皮に向かって押し出されるように伸びて角化したものが髪の毛になっていきます。
すなわち、髪を作り出す根元は生きている細胞ですが、押し出されて角化した時点で死んだ細胞になっているのです。
植物も髪の毛と同じように伸びていきますが、そこには決定的な違いがあります。植物は先端部分が成長して伸びていくのに対し、髪の毛は根元から伸びている点です。
髪の毛は成長しているように見えますが、毛母細胞が分裂して増殖をすることで古い角質を押し上げているだけで、髪の毛自体が成長して伸びているわけではないのです。
死んでいる髪にトリートメントは意味がない?
髪の毛には自己修復機能がない
ヒトの体には自己修復機能というものが備わっており、ケガをしてもある程度の傷であれば自然治癒で治すことができます。
しかし、髪の毛は死んだ細胞ですので、自己修復機能を持っておらず、一度ダメージを受けると放っておいても自然に回復することはありません。
生まれたばかりの髪を100点とすると、その後は回復することができないため、点数は増えることはなく様々な要因によってダメージを受け減点式で下がっていくばかりです。
例えばヘアカラー、ダメージが大きいです。例えばパーマ、これもダメージ大です。
紫外線、シャンプーのしすぎなども点数を下げる要因になりえます。髪を濡れたままにしておく、ワックスを髪につけたまま寝てしまう、なんてのも髪を傷める要因です。
このように髪の毛は時間の経過とともに点数はどんどん下がっていきます。
点数はあくまでもイメージですが、一般的には、毛先ほど点数が低く、髪のダメージが蓄積していることになります。
髪の毛は、根元ほど新しい細胞なので健康的な状態でキューティクルもしっかりとしており、反対に古い細胞である毛先ほどキューティクルはダメージを受けています。
白髪染めをしても毛先よりも生え際のほうが染まりにくいのは、場所的に染料が付着しにくいというだけでなく、しっかりキューティクルに守られているからという理由もあるのです。
髪の毛にトリートメントは意味なし?
トリートメントは、ダメージの多い髪を生き返らせる・元の状態に復活させる、などとイメージされている方も多いのですが、死んだ細胞である髪の毛は、生き返らせることも復活させることもできません。
トリートメントに髪を元に戻す効果が期待できないのであれば、「トリートメントをしても意味がない」ということになってしまうのでしょうか?
そうではありません。髪は死んだ細胞でもトリートメントをする意味があります。
トリートメントには、髪のコンディションを整え、傷んだ髪をメンテナスすることで、髪ダメージの進行を抑えるのに役立ちます。
髪のケアを服に例えてみると分かりやすいかもしれません。
服は、当たり前ですが、自己修復機能を持っていません。服は買ってきたときが一番状態が良く、着れば着るほどに劣化していってしまいます。また、手入れをしながら大切に着るのと、手入れもせずに日焼けをさせたり洗濯を繰り返すのとでは、服の持ちは全然違ってきます。
髪も同じです。髪自体に自己修復機能はありませんが、トリートメントでヘアコンディションを整えることで、髪を長持ちさせ、老化・劣化のスピードを遅らせることに役立ちます。
トリートメントの働き
髪はダメージを受けるとキューティクルがはがれ、外部からの刺激に弱くなったり髪内部の物質が流れ出しやすくなってしまいます。トリートメントには、髪の表面をコーティングし、キューティクルを保護する働きがあります。
髪をコーティングする働きは、リンスやコンディショナーにもありますが、トーリートメントには、これに加えて髪を補修する働きもあります。
髪には自己修復機能がないため、ダメージを受けた部分から髪内部の物質が流出しダメージが進行していくことになります。トリートメントは、物質が流出してしまった部分にトリートメント成分を埋めることで髪を補修する働きが期待できます。
髪を「元の状態に戻す」ことや「生き返らせる」ことはできませんが、トリートメント成分で「髪を補修する」ことは可能なのです。
ただしその効果は一時的で、日が経つにつれてその効果は弱くなっていきます。そのため継続的なトリートメントでケアを続ける必要があります。
男性の場合は髪の短い方も多く、トリートメントは必要がないと思われている方もおられますが、傷んだ髪の毛を健康な髪の毛に近づけることから、抜け毛予防など男性にも効果が期待できます。
髪にはなるべくダメージを与えないことが重要
髪は死んだ細胞であることから、ダメージを受ければ、傷ついた部分を自己で修復することはできません。
トリートメントによって、髪をコーティングしたり、トリートメント成分で補修することは可能ですが、その効果も一時的なものです。
そのため、髪になるべく「ダメージを与えない」、あるいは「ダメージを進行させない」ためのヘアケアが重要です。
ヘアケアアイテムを使って髪をいたわることも大切ですが、普段の生活の中にも髪にダメージを与えてしまう習慣がいろいろとあります。
髪のダメージにつながるNGな習慣をご紹介しますので、当てはまるものがあればこの機会に見直してみてください。
普段のヘアケアにおけるNG習慣
- 風呂上りに髪をダオルでゴシゴシと拭いている
- 髪を洗ったあとドライヤーを使わず自然乾燥している
- 濡れた髪のまま寝てしまうことがある
- 髪にワックスをつけたまま寝てしまうことがある
- ドライヤーを髪に近づけて念入りに乾かしている
- 朝と夜、1日に2回以上のシャンプーをしている
髪の毛は濡れた状態ではキューティクルが開いているため、最もダメージを受けやすい状態になります。なるべく摩擦を避け優しく水気を取りましょう。
男性の場合、ドライヤーを使わず自然乾燥をしている方も多いのですが、濡れた状態を少しでも短くするために、ドライヤーを使って早く乾かしたほうが髪のダメージを減らすことができます。
髪が濡れたままの状態で寝てしまうと、枕で濡れた髪を摩擦してしまうことに加え、雑菌が繁殖して頭皮環境の悪化にも繋がってしまいます。
また、髪の洗い過ぎもNG習慣です。シャンプーを1日に何度もしている方がいますが、シャンプーは1日一度で十分です。洗浄が不十分で洗い残しが出てしまうのはもちろん問題ですが、過剰なヘアケアも大問題です。効果があるどころか、逆に頭皮環境を悪化させてしまうことにもなりかねません。
朝晩にシャワーを浴びる方であれば、朝はシャンプーを使わずお湯だけで髪を洗い、夜だけシャンプーを使って洗うなど工夫してみてください。
ヘアケア用品におけるNG習慣
- 白髪染めにヘアカラー(酸化染料)を使っている
- 髪をブリーチしている、オシャレ染めをしている
- 髪にパーマをかけている
- 美容室で白髪染め・ヘアカラーをしている
- 理容室で白髪ぼかしをしている
- 洗浄力の強い高級アルコール系のシャンプーを使っている
ヘアケア用品は直接髪に作用するため、目的に合った効果を発揮する反面、髪にダメージを与える一番の要因にもなります。
ヘアカラー(酸化染料)を使った白髪染めやブリーチ・オシャレ染め、パーマが髪に大きなダメージを与えることはよく知られています。
最近ではヘアカラー専門店も多く出店していることから、手軽に利用されている方も多いかもしれませんが、ヘアカラー専門店でのカラーも髪へのダメージは小さくありません。理容室での白髪ぼかしも、成分の強さは抑えられていますが髪を染める仕組みはヘアカラーと変わらずダメージはゼロではありません。
また、どのようなシャンプーを使っているのか普段はあまり意識する機会は少ないかもしれませんが、シャンプー選びも重要です。
一般的に市販されているシャンプーの多くには高級アルコール系の洗浄成分が使われており、泡立ちが良く洗浄力が高いのが特徴ですが、反面洗浄力が強すぎるため、髪や頭皮に必要な脂分まで全て洗い流してしまい、頭皮環境を悪化させる要因になっています。
髪の毛の健康は頭皮から
髪の毛は死んだ細胞の集まりであることから、髪にいくら栄養を与えても髪を生き返らせることはできません。
髪にできることと言えば、ダメージの進行を少しでも抑えることだけです。
ヘアケアで髪にコシやハリを与えたり、補修することで髪を一時的に健康な状態に近づけることは可能ですが、将来に渡って健康的な髪をキープするためには、髪の土台となる「頭皮」にアプローチすることが重要です。
土壌の荒れた大地から大きく太い木が育たないように、環境の悪化した頭皮からは健康的な毛が生えてくることはできません。
髪の毛の見えている部分はすでに死んだ細胞ですが、頭皮の中にある見えない部分、毛根の毛母細胞は活発に分裂し増殖している「生きた細胞」です。
この生きた細胞を活性化させるためには、頭皮に十分な栄養や酸素が行き届くことが重要です。
頭皮環境を悪化させるような生活習慣を見直し、髪や頭皮に有効な栄養を十分摂取することで、健康的な髪の成長につながります。
頭皮環境の悪化につながるNG生活習慣
- 髪や頭皮を紫外線に長時間さらしている
- 喫煙(タバコ)の習慣がある
- 睡眠不足の日が多い
- 外食が多い、コンビニ食・インスタント食が多い
- ストレスを感じることが多い
頭皮環境の悪化につながるNG生活習慣は、これ以外にもいろいろとありますが、代表的なものをあげています。
紫外線は髪にダメージを与えるだけでなく頭皮の老化要因にもなります。
また、喫煙や睡眠不足、偏った食生活、過度なストレスは健康維持のためにもNG生活習慣です。
髪はヒトの体にとって、臓器など他の器官と比較すると、生命維持に不可欠な存在ではないため、栄養や酸素の供給が後回しにされてしまいます。
そのため、遠回りに感じられるかもしれませんが、体全体の健康を維持することで、髪や頭皮にも栄養や酸素が行き渡り髪の健康にもつながるのです。
さいごに
髪の毛はすでに死んでいる細胞ですので、受けたダメージを戻すことはできません。
しかしながら、毎日のヘアケアや生活習慣に注意をするだけでも、髪へのダメージを抑えることができ、ダメージの進行を遅らせることで髪を長持ちさせることができます。
また新しい髪を生み出す頭皮のケアも重要です。間違った髪や頭皮のケアを続けてしまえば、髪の健康は維持することはできません。
髪にダメージを与えるNG習慣をいくつかご紹介しましたが、特に気を付けたいのがヘアカラーとパーマです。ヘアカラー・パーマどちらも髪にダメージを与えるだけでなく頭皮環境を悪化させてしまうという点で大きな問題があります。
白髪が気になる年代の男性でパーマをされている方はあまり多くはないと思いますので、問題になるのはヘアカラーでしょう。
ドラッグストアやスーパーなどの白髪染めコーナーを見ても、男性向けの白髪染めはまだまだ酸化染料を使ったヘアカラー製品が中心です。
ヘアカラーは低コストで染毛力が高いメリットがある反面、髪や頭皮へのダメージが大きいことに加え、アレルギーリスクもあり、使用には十分注意が必要です。
髪や頭皮への影響を考えるとヘアカラーの使用は控え、染毛力は弱いですが、髪や頭皮に優しく安全に使えるカラートリートメントの使用をオススメします。
年を取ってくると髪のボリュームも少なくなり、髪自体のコシやハリも弱くなってきます。カラートリートメントには、トリートメント成分も配合されていますので、髪をコーティングすることでコシやハリを出し、ダメージ補修などの効果も期待できます。
繰り返しになりますが、これからも健康的な髪で過ごしていくためには、外からのアプローチも大事ですが、体の内側からのアプローチも重要です。体全体の健康を維持することが、髪の健康にもつながっているのです。
